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株価・為替レートの値動きと変動要因【投資 経済のセオリー】

株式投資を始めた方や、投資信託での資産運用を始めた投資初心者の中には、「なぜ株価が上がったのか(下がったのか)わからない」「株価や為替レートの動きをどうやって予測したらいいのかわからない」とお悩みの方が多いのではないでしょうか。株価や為替レートの動きはすべてを理屈で説明できるわけではないですが、株価や為替レートの動きにはある程度の法則性があり、様々な経済指標が連動して動いているのです。株価や為替レートなどの値動きの法則性を知れば、これまで全くランダムに動くように思えていた株価も、「なるほど、○○が起きたから株価が上がったんだな(下がったんだな)」とわかるようになり、経済に関するニュースを見るのも楽しくなるはずです。 本記事でご紹介する株価や為替レートの動きの法則性は基本的なものがほとんどなので、これから投資で資産を増やしていきたいという方は、一つでも多く覚えていただければと思います。  

景気、株価の変動要因と経済への影響

株価・為替レートの値動きと変動要因【投資 経済のセオリー】

まずは世の中の景気と株価の動きについての法則性をご紹介したいと思います。世の中の景気が良くなるとモノやサービスが良く売れ、企業の業績も良くなるため、企業の株価も上昇しやすいといえます。そのため、景気が良ければ株価が上がる、景気が悪ければ株価が下がる、という感じで、景気と株価はほぼ同じような動きになりやすいと考えられます。ではそもそも景気はどのような流れでよくなったり、悪くなったりするのでしょうか。   ◆景気が好転する要因 ・企業業績好転・失業率の低下・個人の所得増・個人消費伸びるという好循環 ・政府による減税政策   ◆景気が悪化する要因 ・企業業績悪化・失業率が上がる・個人の所得減・個人消費停滞という悪循環 ・政府による減税政策   ◆景気が好調、又は好転観測が高まった時の経済への影響 株高、通貨高、債券価格下落、金利上昇、石油価格上昇、資源価格上昇、インフレ進行   ◆景気が不調、又は悪化観測が高まった時の経済への影響 株安、通貨安、債券価格上昇、金利下落、石油価格下落、資源価格下落、デフレ進行  

金利、債券の変動要因と経済への影響

国債などの債券価格と金利は経済の動向を測る上で非常に従業なものです。国債の価格や金利という話になると多くの人は自分には関係ないと思ってしまうかもしれませんが、世の中の金利水準は住宅ローン金利に反映したり、銀行の預金金利に影響したりするので、意外にも身近なものです。   債券と金利についてまず知っておいてほしいのは、債券価格が下がると金利が上がる、債券価格が上がると金利が下がる、という相関関係です。額面100円の債券がもともと95円で売られていたとすると金利は約5%ですが、債券がなかなか売れず90円に値下がりしたとすると金利は約10%に上がります。経済学を勉強した人には当たり前の内容かもしれませんが、経済を理解するためには大事な考え方です。では、ここから金利・債券の変動要因と、変動した場合の経済指標への影響を見てみます。   ◆金利上昇(債券下落)要因 ・景気好転観測による債券売りの株買い ・中央銀行による政策金利の引上観測(民間銀行の中央銀行からの借入コスト増、民間への貸付金利引上) ・債券の発行体(国や企業など)の信用不安の顕在化   ◆金利下落要因 ・景気悪化観測による株売りの債券買い ・中央銀行による政策金利の引下観測(民間銀行の中央銀行からの借入コスト減、民間への貸付金利引下) ・債券の発行体(国や企業など)の信用不安の後退   ◆金利上昇したときの経済への影響 ・債券価格下落 ・株価下落(DCF法での評価時の割引率上昇、企業の借入コスト増、債券の投資妙味が増して相対的に株式の魅力が下がる) ・通貨高   ◆金利下落したときの経済への影響 ・債券価格上昇 ・株価上昇(DCF法での評価時の割引率下落、企業の借入コスト減、債券の投資妙味が下がり相対的に株式の魅力が上がる) ・通貨安  

為替レートの変動要因と経済への影響

為替レートは多くの企業がグローバルにビジネスを展開する上で、非常に重要な指標です。個人としても、海外旅行をするときには必ず日本円を現地通貨に変えると思いますので、なじみが深いかもしれません。ニュースでも報道されるように日々価格が変動する為替レートですが、その変動要因と、経済への影響はどのようなものがあるのでしょうか。   ◆通貨高要因 金利上昇、景気好調・株価上昇期待による資金流入、デフレ(モノの値段が下がり、通貨の価値が上がる)の進行、輸入する資源の価格下落、貿易収支黒字による実需増、その国の財政不安の後退   ◆通貨安要因 金利下落、景気不調・株価下落に備えた資金流出、インフレ(モノの値段が上がり、通貨の価値が下がる)の進行、輸入する資源の価格上昇、貿易収支赤字による実需減、その国の財政不安の顕在化   ◆通貨高になった時の経済への影響 ・輸出企業の業績悪化、株価下落 ・輸入企業の業績好転、株価上昇 ・輸入品の国内販売価格が下がる   ◆通貨安になった時の経済への影響 ・輸出企業の業績好転、株価上昇 ・輸入企業の業績悪化、株価下落 ・輸入品の国内販売価格が上がる  

物価(インフレ、デフレ)の変動要因と経済への影響

毎日の生活ではあまり気づかないかもしれませんが、私たちが日々購入したり販売したりしているモノの価格は少しずつ変動しています。ガソリンの値段などは変動が大きいのでわかりやすいと思いますが、食料品なども少しずつ値上がりしているのは皆さんも実感しているところだと思います。   モノの価格、つまり物価が変動することを経済用語で、インフレ(物価が上がること)、デフレ(物価が下がること)と言います。インフレになるとモノの値段が上がる代わりに、通貨の価値が下がります。(例)今まで100円で買えたモノが200円に値上がりしたときに、日本円通貨の価値は1/2に下がってしまった(同じモノを買うのに2倍のお金が必要になってしまった)ということですね。このインフレ、デフレは経済に大きな影響があるので、どのようなところに影響をするのかは知っておいた方がいいです。   ◆インフレが起こる要因 ・企業業績好調→従業員の給与が上がる→モノが売れるので値上げが起こる悪循環 ・企業のイノベーションにより製造コストが下がる   ◆デフレ要因が起こる要因 ・企業業績悪化→従業員の給与が上がらない→モノが売れないので値下げが起こる悪循環   ◆インフレが起きているときの経済への影響 通貨安、株高、資源高、原油高、個人消費が伸びる(早く買わないと値上がりするため消費が活発になる)   ◆デフレが起きているときの経済への影響 通貨高、株安、資源安、原油安、個人消費が伸びる(買わずに待てば値下がりするため買い控えが起きる)   その国の経済成長のためには、ゆるやかなインフレが良いとされています。インフレが起きているときには、早くモノを買わないと値段が上がってしまうため早めに消費をするようになります。また、住宅などのようにローンを組んでモノを買う場合も、通貨の価値が下がるインフレ下では、ローン債務の価値が下がるため、借入をする人が有利になり、ローンの借り入れが積極的に行われます。   一方で、デフレの場合には、待っていればモノの値段が下がるため、人々は値段が下がるまで待ってからモノを買おうとするため消費が落ち込みます。また、住宅ローンなどの借入も、ローン債務の価値が上がっていくため、借り入れをする人には不利で、ローンの借入も減ってしまいます。  

原油価格の変動要因と経済への影響

原油は発電に使われたり、ガソリンなどの動力エネルギーとして使われたりと、私たちの生活に欠かせないものです。しかしながら、日本ではガソリンは取れないので、日本は中東の産油国などから原油を輸入しなければいけません。原油価格は日々変動していて、原油価格の値動きはガソリンや灯油などの小売価格にも反映されるので、そういった意味では意外に身近なものかもしれません。では、私たちにとっても身近なエネルギーである原油の価格はどのような要因で変動し、原油価格の変動は経済にどのような影響があるのでしょうか。   ◆原油価格上昇要因 OPEC減産、石油備蓄減少、中東情勢不安、景気好調によるエネルギー需要の増加   ◆原油価格下落要因 OPEC増産、石油備蓄増加、中東情勢不安の後退、景気不調によるエネルギー需要の減少   ◆原油価格上昇による経済への影響 ・原油輸出国の貿易収支好転→通貨高 ・原油輸入国の貿易収支悪化→通貨安 ・石油開発企業の業績好転 ・石油化学製品製造企業の業績悪化   ◆原油価格下落による経済への影響 ・原油輸出国の貿易収支悪化→通貨安 ・原油輸入国の貿易収支好転→通貨高 ・石油開発企業の業績悪化 ・石油化学製品製造企業の業績好転   原油価格の上昇の恩恵を受ける石油輸出国と、原油価格が上昇すると支出が増える石油輸入国の上位は以下のようになっています。単純な輸出額、輸入額を見るよりは、その国の経済に占める石油の輸出入の割合、つまり石油輸出入額が対GCP比でどれだけを占めているかが重要です。石油輸出国の中でも対GDP比の高いロシア(ルーブル)、カナダ(カナダドル)、ノルウェーノルウェークローネ)などの通貨は、原油価格の影響を強く受けます。反対に原油価格が上昇したときに不利になる石油輸入国の代表格はインドや韓国などとなっています。   <石油輸出国と対GDP比>

国名 原油輸出額 GDP GDP
サウジアラビア 167,603 786,522 21.3%
ロシア 129,201 1,657,290 7.8%
カナダ 66,892 1,712,479 3.9%
米国 48,262 20,580,250 0.2%
ノルウェー 32,965 434,167 7.6%
メキシコ 26,483 1,222,053 2.2%
ブラジル 25,131 1,867,818 1.3%
イギリス 24,858 2,828,833 0.9%

※2018年(単位:百万USD)   <石油輸入国と対GDP比>

国名 原油輸入額 GDP GDP
中国 251,898 13,368,073 1.9%
米国 162,802 20,580,250 0.8%
インド 107,259 2,718,732 3.9%
日本 80,582 4,971,767 1.6%
韓国 80,393 1,720,489 4.7%
オランダ 52,127 914,519 5.7%
ドイツ 45,046 3,951,340 1.1%

※2018年(単位:百万USD)  

政府による経済政策の経済への影響

日本の政府、アメリカの政府などそれぞれの国ごとにやり方は違いますが、どの国の政府も国内の景気をよくするために様々な政策を実施します。それは政府主導のものであったり、日銀などの中央銀行が主導するものであったりと様々ですが、景気が悪い時には景気を刺激し、景気が過熱したときにはバブルにならないように政府は経済政策を行います。   ◆景気悪化、株価下落が起きたときの経済政策 ・中央銀行が、株やETFなどを市場で購入し株価の下支えをする ・国債中央銀行が引き受けることによって増発して財政支出を行う(企業の倒産抑制、個人消費促進、通貨量が増えるためインフレ・通貨安) ・中央銀国による国債購入を行い市場金利を下げる(企業の借入負担を減らして資金ショートを防ぐ) ・政策金利中央銀行が一般銀行に貸し付けるときの金利)を下げ、銀行から民間への貸付金利を下げる ・減税政策 ・公共事業を実施して雇用確保   ◆景気好調、株価加熱が起きたときの経済政策 ・政策金利中央銀行が一般銀行に貸し付けるときの金利)を上げ、銀行から民間への貸付金利を上げる ・増税政策  

まとめ 株価・為替レートの値動きと変動要因【投資 経済のセオリー】

世の中の一つ一つの経済指標はバラバラに思えるかもしれませんが、その多くが相互に影響しあっていて世界経済はまわっていることがお分かりいただけたでしょうか。経済の動きの法則性を知っていると、毎日のニュースがより分かりやすく、面白くなります。また、これから投資を始めようという方は、投資を理解するための基礎になります。経済の仕組みは日々変わっていくため、常に知識をブラッシュアップしていきましょう。   [temp id=8]

 

 

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