富士フイルムの株主優待、配当、株価は? | 株式投資のおすすめ銘柄
本記事では株式投資の銘柄選びをされる個人投資家向けに、富士フイルムホールディングスの株主優待、配当金、株価、業績などの情報を、フィナンシャルプランナー(FP)の最上位資格であるCFPを持つ筆者がまとめています。
富士フイルムは従来カメラのフィルム事業を主力にしていましたが、デジカメの台頭によりその本業が失われました。しかしその後、メディカルをはじめとする多角化戦略で事業の立て直しに成功している会社です。近年はスキンケア用品なども消費者の認知度が上がってきています。
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富士フイルムの株価と買付情報
<富士フイルムの株式買付情報>
上場市場 | 東証第一部 | |
証券コード | 4901 | |
株価 | 4,661 | 円 |
単元株数 | 100 | 株 |
最低買付価格 | 466,100 | 円 |
2019年10月14日時点
富士フイルムの株式の購入情報は上記の通りです。購入は100株単位になりますので、富士フイルムの株式の購入には約47万円が必要です。
<富士フイルムの株価の割安・割高の目安>
株価 | 4,661 | |
一株当たり利益 | 327 | ※19年3月期 |
一株当たり純資産 | 4,977 | ※19年3月期 |
PER | 14.3 | 倍 |
PBR | 0.9 | 倍 |
2019年10月14日時点
株価が割安か割高を見るときには、その銘柄のPER、PBRを見るのが参考になります。
PERとは株価収益率(Price Earnings Ratio)のことをいい、株価が一株当たり利益の何倍になっているかを表しています。例えば、一株当たり利益が100円の会社の株価が1000円であればPERは1000円÷100円=10倍となります。
また、PBRとは株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)のことをいい、株価が一株当たり純資産額の何倍になっているかを表しています。例えば、一株当たり純資産額が1000円の会社の株価が1000円であればPBRは1000円÷1000円=1倍となります。
このPERやPBRをいろいろな銘柄と比較することで、その銘柄の株価が割安か割高か判断することができます。
<富士フイルムのPERの比較>
・大型株平均(加重平均) 13.5倍 ※19年9月時点
・化学業界平均(加重平均) 15.9倍 ※19年9月時点
・富士フイルム 14.3倍
<富士フイルムのPBRの比較>
・大型株平均(加重平均) 1.2倍 ※19年9月時点
・化学業界平均(加重平均) 1.5倍 ※19年9月時点
・富士フイルム 0.9倍
今後の株価の見通しや割安な銘柄を見つけるためには、日々の情報収集が不可欠です。情報収集ツールは有料のものも多いですが、無料で関東財務局認定の有益な情報が得られるツールもあり、私自身も銘柄選びの参考に利用していますので興味のあるかたは無料登録してみてください。
一株当たり配当金の推移と配当金の権利落ち日
15年3月期 | 16年3月期 | 17年3月期 | 18年3月期 | 19年3月期 | |
中間配当 | 25.00 | 32.50 | 35.00 | 37.50 | 40.00 |
期末配当 | 35.00 | 32.50 | 35.00 | 37.50 | 40.00 |
合計 | 60.00 | 65.00 | 70.00 | 75.00 | 80.00 |
配当利回り | 1.3% | 1.4% | 1.5% | 1.6% | 1.7% |
2019年9月13日時点
<配当金の権利落ち日>
中間配当 ・・・ 9月末日
期末配当 ・・・ 3月末日
富士フイルムの配当金を受け取るためには、9月末、3月末時点でそれぞれ株主である必要がありますので、その2営業日前までに株式の購入を済ませましょう。
富士フイルムの株主優待は何が貰える?
富士フイルムの株主になると保有株式数、株式の保有期間に応じて富士フイルムの自社製品等がもらえます。日常のスキンケアに富士フイルム製品を使っている方や、高給スキンケア用品を試してみたいという方におすすめです。
3月末時点の株主の方への株主優待
<100株以上>
富士フイルムグループヘルスケア商品優待割引販売
<100株以上、継続保有期間1年以上>
富士フイルムグループヘルスケアトライアルキットおよびヘルスケア商品(計2,000~3,000円相当)プレゼント
<300株以上、継続保有期間3年以上>
ヘルスケア商品(4,000~5,000円相当)プレゼント
<500株以上、継続保有期間3年以上>
富士フイルムグループヘルスケア商品(9,000~10,000円相当)プレゼント
9月末時点の株主の方への株主優待
<100株以上>
富士フイルムグループヘルスケア商品優待割引販売
<100株以上、継続保有期間1年以上>
富士フイルムグループフォトブック等プリントサービス利用クーポン券(1,000円分)プレゼント
<500株以上、継続保有期間3年以上>
富士フイルムグループフォトブック等プリントサービス利用クーポン券(4,000円分)プレゼント
富士フイルムの業績情報
株式投資では今後の株価の見通しの検討材料として決算情報を見ることが重要になります。安定した利益を出している企業はやはり市場から評価をされやすく、自己資本比率が高い企業は不況でも体力があり倒産リスクが低いと言えるので、そのあたりを中心に企業の業績を見るようにすると良いでしょう。
直近3事業年度の業績
決算期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 |
会計基準 | 米国基準 | 米国基準 | 米国基準 |
売上高 | 2,322,163 | 2,433,365 | 2,431,489 |
営業利益 | 172,281 | 130,679 | 209,827 |
営業利益率 | 7.4% | 5.4% | 8.6% |
経常利益 | 194,775 | 197,807 | 212,762 |
経常利益率 | 8.4% | 8.1% | 8.8% |
当期利益 | 131,506 | 140,694 | 131,506 |
利益率 | 5.7% | 5.8% | 5.4% |
自己資本比率 | 57.8% | 59.5% | 59.7% |
単位:百万円
富士フイルム有価証券報告書(2019年3月決算)を元に筆者作成
地域別売上の状況(海外売上比率)
投資先となる銘柄の将来性を判断する場合には、海外売上比率を見ることが一つの手段となります。日本は今後も少子高齢化が進むことは確実ですので、海外市場を開拓している企業は確実に有利になります。
<富士フイルムの海外売上比率>
決算期 | 2019年3月期 |
日本 | 1,006,536 |
米国 | 463,394 |
欧州 | 315,667 |
アジア・太平洋・中国他 | 645,892 |
計 | 2,431,489 |
国内比率 | 41.4% |
海外比率 | 58.6% |
単位:百万円
富士フイルム有価証券報告書(2019年3月決算)を元に筆者作成
セグメント情報(事業ごとの概況)
セグメントとは企業が行っている事業の区分のことを言います。投資をする会社の事業を理解するためには、セグメントごとにどのような事業を行っているかを見ることが参考になります。
富士フイルムでは、イメージングソリューション、ヘルスケア&マテリアルズソリューション、ドキュメントソリューションの3つのセグメントで事業を展開しています。それでは各セグメントの事業内容、業績について見ていきましょう。
セグメント情報 イメージングソリューション
<主要製品>
カラーフィルム、デジタルカメラ、インスタントフォトシステム、光学デバイス
<主要会社>
富士フイルム、富士フイルムオプティクス、富士フイルムイメージングシステムズ(販売)
<業績情報>
決算期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 |
売上高(百万円) | 385,276 | 389,074 |
営業利益(百万円) | 55,787 | 51,128 |
営業利益率 | 14.5% | 13.1% |
従業員数(人) | 7,733 | 7,219 |
一人当たり売上高(百万円) | 49.8 | 53.9 |
一人当たり営業利益(百万円) | 7.2 | 7.1 |
<競合他社>
イメージングソリューション事業は各セグメントの中で1人あたり営業利益が高い優良事業です。最近ではインスタントポラロイドカメラのチェキが海外で大成功しており、スマホカメラの便利さとはまた違った価値をユーザーに提供しています。
セグメント情報 ヘルスケア&マテリアルズソリューション
<主要製品>
メディカルシステム機材、化粧品・サプリメント、医薬品、再生医療製品、ディスプレイ材料、記録メディア等
<主要会社>
富士フイルム、富士フイルム富山化学(生産)、富士フイルム和光純薬(生産)、富士フイルムメディカル(販売)
<業績情報>
決算期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 |
売上高(百万円) | 1,003,542 | 1,040,525 |
営業利益(百万円) | 91,377 | 97,579 |
営業利益率 | 9.1% | 9.4% |
従業員数(人) | 23,666 | 23,830 |
一人当たり売上高 | 42.4 | 43.7 |
一人当たり営業利益 | 3.9 | 4.1 |
他のセグメント(イメージングソリューション、ドキュメントソリューション)が今後の市場拡大が見込みにくい中で、富士フイルムの成長事業と位置づけられているのがヘルスケア事業です。日本に限らず世界的に長寿化が進むことは確実ですので、医療関係の市場規模拡大の波に乗れるかがポイントです。
セグメント情報 ドキュメントソリューション
<主要製品>
デジタル複合機、ドキュメントマネジメントソフトウェア及び関連ソリューション等
<主要会社>
富士ゼロックス、富士ゼロックス東京(販売)、富士ゼロックス大阪(販売)、富士ゼロックスマニュファクチュアリング(生産)
<業績情報>
決算期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 |
売上高(百万円) | 1,055,626 | 1,014,786 |
営業利益(百万円) | 8,414 | 96,366 |
営業利益率 | 0.8% | 9.5% |
従業員数(人) | 44,424 | 39,327 |
一人当たり売上高 | 23.8 | 25.8 |
一人当たり営業利益 | 0.2 | 2.5 |
<競合他社>
ドキュメントソリューション事業では、世界的なペーパーレスの流れによる逆風が吹いています。今後も新興国では一定の伸びがあることが想定されますが、先進国では取り換え需要が主になってきますし、タブレット端末なども普及する中、紙の使用量は減っていくことが考えられます。
その他関連情報
富士フイルムの格付け
格付けとは格付け会社と呼ばれる会社その会社の信用力を評価してランク付けをしたもののことを言います。信用力とはその会社が債券を発行してお金を借りた場合に、そのお金をきちんと返せるかどうかのことです。格付けが高い会社は財務内容や経営状態が良好で、信用力が高いということがわかります。
<長期債>
ムーディーズ | A1(安定的) |
スタンダード & プアーズ | AA- |
格付投資情報センター | AA |
(2019年8月6日更新)
富士フイルムの積極的なM&A戦略の歴史
富士フイルムはフイルム事業の縮小ととも様々な成長分野への投資、M&Aを行い、事業構造の転換を進めてきました。これまでに富士フイルムが行った主なM&Aをまとめました。
2019年8月/デンマーク/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米バイオ医薬品大手バイオジェン社の製造子会社を買収
2019年5月/ドイツ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
ドイツ内視鏡処置具メーカー medwork(メドワーク)社を買収し、内視鏡用処置具事業に本格参入
2018年6月/アメリカ・日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
再生医療のリーディングカンパニー「Irvine Scientific Sales Company」「アイエスジャパン」を買収
2017年4月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
富士フイルムは、臨床検査、化成品、試薬事業を展開する総合試薬メーカーで武田薬品グループの子会社であった和光純薬工業を株式公開買付により約1547億円で買収。
2015年10月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国の高純度溶剤製造・販売会社Ultra Pure Solutions, Inc.を買収
2015年5月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国医療ITシステムメーカー TeraMedica(テラメディカ)社を買収
2015年5月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニー 米国 Cellular Dynamics International, Inc. 株式公開買付け成立
2014年12月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国バイオ医薬品受託製造会社の買収「FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC」として始動
2014年12月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社の新株予約権の行使完了
2012年10月/オーストラリア/ドキュメントソリューション
オーストラリア最大のビジネスサービスプロバイダー Salmat Limitedのビジネスプロセスアウトソーシング事業を買収
2012年6月/トルコ/イメージングソリューションヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
イメージング製品、メディカル製品、グラフィック製品の販売代理店であるトルコのFilmat Dis Ticaret A.S.を買収
2012年3月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
超音波診断装置大手SonoSite, Inc.を買収
2012年2月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
システム計画研究所と、その生体情報システム事業を買収
2011年2月/トルコ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
トルコの内視鏡製品の販売代理店であるFILMED TIBBI CIHAZLAR PAZARLAMA VE TICARET A.S.を買収
2011年2月/イギリス/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
バイオ医薬品の受託製造会社であるイギリスのMSD Biologics (UK) Limited社、およびアメリカのDiosynth RTP Inc. 社を子会社化
2010年7月/オーストラリア/ドキュメントソリューション
富士ゼロックスオーストラリアがオーストラリアのマネージド・プリント・サービスプロバイダーUpstream Print Solutions社を買収
2009年3月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
内視鏡製品の国内販売会社であるフジノン東芝ESシステム(株)を完全子会社化
2008年12月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
創薬系バイオベンチャー(株)ペルセウスプロテオミクスを子会社化
2008年12月/ロシア/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション、イメージングソリューション
丸紅からロシアのメディカルおよびイメージング製品の販売代理店であるZAO “FUJIFILM-RU”を買収
2008年11月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国の放射線情報システムメーカーEmpiric社を買収
2008年3月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
「インフルエンザ治療薬」、「アルツハイマー病治療薬」等の有力なパイプラインを保有する富山化学の公開買付を実施
2008年1月/ドイツ/イメージングソリューション
ドイツのオンラインフォトサービスのシステム開発会社IP Labs GmbHを買収
2007年5月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
住商情報システム(株)より内視鏡・超音波・病理の各部門システム事業を譲受
2006年12月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
循環器部門向け医療画像情報システムメーカーである米国 Problem Solving Concepts, Inc.を買収
2006年10月/オーストラリア/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
オーストラリア・ニュージーランドの印刷システム事業の販売代理店、Graphic Systems Australasia Pty Ltd.の印刷製版機材の販売及び技術サポート関連事業を買収
2006年10月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
第一ラジオアイソトープ研究所(現 富士フイルムRIファーマ)を買収
2006年7月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
産業用インクジェットプリンター用ヘッドのトップメーカー米国Dimatix社を買収
2006年3月/フランス/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
フランスの医療用機器販売会社TSR HOLDING S.A.と、医療用機器サービス・メンテナンス会社FUJI MEDICAL SYSTEMES FRANCE S.A.(現 FUJIFILM Medical Systems France S. A.)を買収
2006年1月/日本/イメージングソリューション
三協化学(株)(現 富士フイルムファインケミカルズ(株))を完全子会社化
2005年11月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国の半導体用CMPスラリーの開発・製造会社、Planar Solutions, LLC.の米国Arch Chemicals, Inc.の出資持分(持分比率50%)を取得
2005年6月/日本/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
液晶パネル用偏光板メーカー、サンリッツの株式を追加取得し、出資比率を約30%に拡大
2005年2月/イギリス/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
スクリーン印刷・パッケージ印刷用インクや産業用インクジェット用インクのビジネスを展開するSericolグループの英国持株会社Sericol Group Limited(現 FUJIFILM Sericol Limited)を買収
2004年11月/アメリカ/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
米国Arch Chemicals, Inc.より、同社Microelectronic Materials部門と同社所有の富士フイルムアーチ(現 富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ)の株式全数を買収
2004年4月/オーストラリア/ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
オーストラリア及びニュージーランドの販売代理店であるHanimex Australasia Pty Ltd.(現 FUJIFILM Holdings Australasia Pty Ltd.)を買収
富士フイルムの歴史と沿革、ニュース
1934年 | 創業 |
2001年 | 富士ゼロックスの発行済株式の25%を追加取得、連結子会社化 |
2006年 | 富士写真フイルム株式会社を富士フイルムホールディングス株式会社に商号を変更して持株会社制に移行。富士写真フイルム株式会社の事業を引き継ぐ事業会社として富士フイルム株式会社を新設。 |
2017年 | 和光純薬工業を株式公開買付(TOB)により連結子会社化 |
2019年8月 | 米バイオ医薬品大手バイオジェンの製造系子会社、バイオジェン・デンマーク・マニュファクチャリングを約9億ドルで買収。 |
2019年8月 | 男性用化粧品への参入を発表。30代から50代をターゲットにアンチエイジング化粧品「アスタリフト メン」シリーズを11月から販売開始予定。 |
2019年12月 | 日立製作所の画像診断機器事業を約1,700億円で買収する見込みと発表 |
2020年1月 | 米ゼロックスとの事務機器に係る販売提携を2021年3月末で打ち切ると発表。富士フイルムとしては、「ゼロックス」ブランドが使えなくなる一方で、ブランド使用料年100億円あまりのコスト削減になる見込み。 |