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日商簿記1級 独学の難易度、合格率、勉強時間【おすすめテキストは?】

簿記1級の受験を検討している方の中には、「簿記1級の難易度や勉強時間はどれくらい?」「簿記1級は独学でも受かる?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。私も簿記1級を取得する前は、その範囲の広さに圧倒されて、何度も自分には無理なんじゃないか、独学では無理なんじゃないかと思ったりしましたが、コツコツと勉強を続けた結果、社会人で仕事を続けながら独学で簿記1級を取得することができました。   本記事では、簿記1級の試験概要や難易度、独学で簿記1級を取得する方法について、実際に独学と市販のテキストのみで簿記1級を取得している筆者が解説します。  

日商簿記1級 独学の難易度、合格率、勉強時間【おすすめテキストは?】

日商簿記1級 独学の難易度、合格率、勉強時間【おすすめテキストは?】

日商簿記1級の試験日、日程、試験時間

数ある資格試験の中でも難関試験の一つである簿記1級。正式には日商簿記検定1級試験です。簿記検定には日商簿記検定以外にも全経簿記検定というものがありますが、メジャーなのは圧倒的に日商簿記検定なので、本記事では日商簿記検定1級を前提に話をしていきます。まずは日商簿記検定1級の試験概要を見てみましょう。   <試験概要>

  試験科目 試験時間 配点 合格ライン
1級 商業簿記/会計学 工業簿記/原価計算 各1時間30分 計3時間 商業簿記 25点 会計学 25点 工業簿記 25点 原価計算 25点 合計 100点 合計70点以上 かつ 各科目10点以上
2級 商業簿記/工業簿記 2時間 商業簿記 50点 工業簿記 50点 合計 100点 70点以上
3級 商業簿記 2時間 100点 70点以上

簿記は級が上がるごとに試験科目、試験時間が増えていきます。簿記と言えば計算のイメージが強いと思いますが、1級では会計学といういわゆる会計の理論部分(なぜそうなるのか、なぜそうすべきなのかという考え方)が問われるのが特徴です。試験時間も1時間30分×2で計3時間に及ぶ長丁場です。   簿記1級のもう一つ特徴的な点が合格ラインで、合計で70点以上を取得し、かつ各科目で10点以上を取得しなければいけません。2級の商業簿記と工業簿記では、どちらかが苦手であってももう片方の科目でカバーするということができましたが、1級では苦手な科目があると合格することができないのが厄介なところです。苦手な部分を作らず、まわりの受験生が正解するところを確実に得点していく、というのは簿記に限らずあらゆる資格試験の鉄則でもあります。1級では全ての範囲を網羅的にバランスよく勉強することが必要です。   <試験日・受験料>

  試験日 受験料
1級 年2回 (6月/11月) 7850円(税込)
2級 年3回 (6月/11月/2月) 4720円(税込)
3級 年3回 (6月/11月/2月) 2850円(税込)

簿記2級と3級は年3回試験が行われますが、1級は年2回に開催回数が減ります。一度落ちると次のチャンスは半年後になってしまいますので、そのあたりはスケジュールや自分の知識の維持をうまくやっていく必要があります。  

日商簿記1級の受験者数と合格率【難易度と勉強時間の目安】

簿記検定1級の合格率や難易度はどれくらいなのでしょうか。「簿記1級は2級よりも圧倒的に難しい」「簿記1級は難しいので独学は無理」といったうわさを聞いたことがあるかもしれませんが、前者は正解で後者は誤解です。   簿記1級はたしかに長時間の学習を必要とする難関試験ですが、決して独学で受からない試験ではありません。まずは簿記1級の難しさ、なぜ簿記1級は難しいのかという点について解説します。  

簿記1級、2級,3級の合格率

  受験者数 合格者数 合格率 受験者層
1級 9,481名 735名 9.80% 2級合格者 税理士受験生 公認会計士受験生
2級 62,206名 13,195名 27.10% 会計初心者 3級合格者
3級 99,820名 34,519名 43.10% 会計初心者

簿記検定は当たり前ですが、級が上がっていくごとに範囲が広くなり、かつ問題も難しくなっていきます。また、級が上がるごとに受験者数は少なくなり、合格率も下がっていきます。合格率が下がると試験の難易度が上がるのは誰でもイメージしやすいと思いますが、簿記1級を難しくしている最大の要因はその受験者層のレベルの高さです。   一般的に資格試験の合格難易度は、[受験者層のレベル×合格率]で決まります。例えば、法律関係の試験をするとして、法律の素人を集めて試験をして合格率が10%になる試験と、弁護士を集めて試験をして合格率が50%になる試験をした場合では、難しいのは圧倒的に後者でしょう。そのため、試験の難しさを測るときには、合格率を見るだけではなく、どういった層の人たち受験をしているのかを見るのが非常に大切です。   <資格試験の難易度は受験者層のレベルが大事(例)> ①法律の素人を集めて試験をして合格率10%の試験 ②弁護士を集めて試験をして合格率50%の試験をした場合 →②の方が合格率は高いが、難易度は②が格段に高い!!   簿記検定の各級の受験者層を見てみると、3級は簿記初心者向けの試験なので当然知識のない方が受験者層になります。2級の受験者層は3級の合格者や、3級2級を同時に受ける簿記初心者だと思います。これが1級になると、受験者層の最低レベルは2級合格者で、そのほかに会計分野の最高レベルの資格である公認会計士・税理士の受験生が入ってきます。簿記1級の範囲は、公認会計士や税理士の試験勉強をしているとほとんどすべてをカバーできてしまうため、公認会計士や税理士の受験生たちが簿記1級の試験に参入してくるのです。   公認会計士や税理士の受験生は、簿記1級の試験対策という意味では片手間の勉強しかしていませんが、それでも日本トップレベルの難易度の試験に挑もうとしている人たちはやはり強敵です。このように、簿記1級は2級以下よりも圧倒的にレベルの高い受験層の中で、約10%の上位に入らなければいけない試験ですので、いかにレベルが高い試験かということがお分かりいただけるかと思います。   <簿記の各級の受験者層と合格率> 3級:会計初心者の中が受験。40%前後の合格率 2級:3級合格者や、会計初心者(3級、2級同時受験)が受験。20%前後の合格率 1級:2級合格者、公認会計士・税理士受験生が受験。10%前後の合格率   そんなに難しいならやめとおこうと思ったあなた、ちょっと待ってください。資格試験は難しいからこそ取得する意味があるのです。受験すれば誰でも受かる試験であれば価値はほとんどないと思いませんか。車の普通免許を持っている人が、人に自慢したりしないのは、普通の人ならだれでも受かる試験だからです。   簿記1級は確かに簡単には取れない難しい資格です。しかし、だからこそ簿記1級の合格者は高い評価を得ることができ、その会計能力の高さを証明できる資格なのです。  

日商簿記1級、2級,3級の勉強時間の目安

簿記1級は受験者層が非常にハイレベルなため、難易度が高い試験だということはお分かりいただけたかと思います。そんな難しい簿記1級に挑戦しようと思った時に気になるのが、合格までに必要になる学習時間ですね。簿記1級に合格するには一体どれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。以下は某大手資格専門学校により簿記検定各級の学習時間の目安です。   <簿記検定各級の学習時間の目安>

  学習時間の目安
1級 500時間~
2級 150~200時間
3級 60~80時間

  専門学校としては、試験を難しく見せすぎるとチャレンジする人(お客)が減ってしまうため、最低限の学習時間を見せる傾向があります。合格までに必要になる学習時間は人によって全然違いますが、専門学校が公表している学習時間の目安は最低限の学習時間とお考え下さい。公表されている学習時間の目安は、すべての学習をスムーズにこなして、かつ、1発合格する受験生の学習時間の目安です。   1回の受験で合格できずに、2回、3回と受験を重ねれば、学習時間は目安時間の2倍、3倍になることもめずらしくありません。実際に私は1回目の受験の時にはあとほんのわずかなところで落ちていて、2回目の受験までに知識のキープ・ブラッシュアップを行ったため、総学習時間は1000時間弱になりました。  

日商簿記1級の勉強範囲【独学なら効率よく学習が必要】

簿記1級の試験ですが、試験範囲は2級までとは比べ物にならないくらい膨大です。ざっと試験範囲を見てみましょう。項目を列挙しただけでも、3級、2級とは比較にならないボリューム感がお分かりいただけるかと思います。   <商業簿記会計学

第一 簿記の基本原理
1.基礎概念
2.取引
3.勘定
4.帳簿
5.証ひょうと伝票
第二 諸取引の処理
1.現金預金
2.有価証券
3.売掛金と買掛金
4.その他の債権と債務
5.手形
6.債権の譲渡
7.引当金
8.債務の保証
9.商品
10.特殊商品売買
11.工事契約
12.デリバティブ取引、その他の金融商品
13.有形固定資産
14.無形固定資産
15.固定資産の減損
16.投資その他の資産
17.繰延資産
18.リース取引
19.外貨建取引
20.資産除去債務
21.収益と費用
22.税金
23.税効果会計
24.未決算
25.会計上の変更および誤謬の訂正
第三 決算
1.試算表の作成
2.精算表
3.決算整理
4.決算整理後残高試算表
5.収益と費用の損益勘定への振替
6.純損益の繰越利益剰余金勘定への振替
7.その他有価証券評価差額金
8.帳簿の締切
9.損益計算書貸借対照表の作成
10.財務諸表の区分表示
11.株主資本等変動計算書
12.財務諸表の注記・注記表
13.附属明細表(附属明細書)
14.キャッシュ・フロー計算書
15.中間財務諸表(四半期・半期)、臨時決算
第四 株式会社会計
1.資本金
2.資本剰余金
3.利益剰余金
4.剰余金の配当など
5.自己株式・自己新株予約権
6.会社の合併
7.株式交換・株式移転
8.事業分離等、清算
9.社債(新株予約権社債を含む)
10.新株予約権、ストック・オプション
第五 本支店会計
1.本支店会計の意義・目的
2.本支店間取引の処理
3.在外支店財務諸表項目の換算
4.本支店会計における決算手続(財務諸表の合併など) (内部利益が付加されている場合)
第六 連結会計
1.資本連結 (子会社の支配獲得時の資産・負債の時価評価、支配獲得までの段階取得、子会社株式の追加取得・一部売却など)
2.非支配株主持分
3.のれん
4.連結会社間取引の処理
5.未実現損益の消去(2級では棚卸資産および土地に係るものに限る)
6.持分法
7.連結会計上の税効果会計
8.在外子会社等の財務諸表項目の換算
9.個別財務諸表の修正(退職給付会計など)
10.包括利益、その他の包括利益
11.連結精算表、連結財務諸表の作成 連結キャッシュ・フロー計算書、中間連結財務諸表の作成(四半期・半期)
12.セグメント情報など
第七 会計基準および企業会計に関する法令等
1.企業会計原則および企業会計基準などの会計諸基準ならびに中小企業の会計に関する指針・中小企業の会計に関する基本要領
2.会社法会社法施行規則、会社計算規則および財務諸表等規則などの企業会計に関する法令
3.「財務会計の概念フレームワーク

  <工業簿記・原価計算

第一 工業簿記の本質
 1.工業経営の特質
 2.工業経営における責任センター
 3.工業簿記の特色
 4.工業簿記と原価計算
 5.原価計算基準
 6.工業簿記の種類
第二 原価
 1.原価の意義
 2.原価の要素、種類、態様
 3.非原価項目
第三 原価計算
 1.原価計算の意義と目的
 2.原価計算の種類と形態
 3.原価計算の手続
 4.原価(計算)単位
 5.原価計算期間
第四 工業簿記の構造
 1.勘定体系
 2.帳簿組織
 3.決算手続
 4.財務諸表
第五 材料費計算
 1.材料費の分類
 2.材料関係の証ひょうおよび帳簿
 3.購入価額(副費の予定計算を含む)
 4.消費量の計算
 5.消費単価の計算(予定価格による計算を含む)
 6.期末棚卸高の計算 棚卸減耗費の引当金処理
第六 労務費計算
 1.労務費の分類
 2.賃金関係の証ひょうおよび帳簿
 3.作業時間および作業量の計算
 4.消費賃金の計算(予定賃率による計算を含む)
 5.支払賃金、給料の計算
第七 経費計算
 1.経費の分類
 2.経費関係の証ひょうおよび帳簿
 3.経費の計算 複合費の計算
第八 製造間接費計算
 1.製造間接費の分類
 2.製造間接費関係の証ひょうおよび帳簿
 3.固定予算と変動予算
 4.製造間接費の製品への配賦(予定配賦を含む)
 5.配賦差額の原因分析
 6.配賦差額の処理
第九 部門費計算
 1.部門費計算の意義と目的
 2.原価部門の設定
 3.部門個別費と部門共通費
 4.部門費の集計
 5.補助部門費の製造部門への配賦
第十 個別原価計算
 1.個別原価計算の意義
 2.製造指図書と原価計算
 3.個別原価計算の方法と記帳
 4.仕損費の計算
 5.仕損費の処理
 6.作業屑の処理
第十一 総合原価計算
 1.総合原価計算の意義
 2.総合原価計算の種類
 3.単純総合原価計算の方法と記帳
 4.等級別総合原価計算の方法と記帳
 5.組別総合原価計算の方法と記帳
 6.総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価の計算
 7.工程別総合原価計算
 8.正常仕損費と正常減損費の処理
 9.異常仕損費と異常減損費の処理
 10.副産物の処理と評価
 11.連産品の計算
第十二 標準原価計算
 1.標準原価計算の意義と目的
 2.標準原価計算の方法と記帳
 3.標準原価差額の原因分析
 4.標準原価差額の会計処理
 5.標準の改訂
第十三 原価・営業量・利益関係の分析
 1.損益分岐図表
 2.損益分岐分析の計算方法
 3.CVPの感度分析
 4.多品種製品のCVP分析
 5.全部原価計算の損益分岐分析
第十四 原価予測の方法
 1.費目別精査法
 2.高低点法
 3.スキャッター・チャート法
 4.回帰分析法
第十五 直接原価計算
 1.直接原価計算の意義と目的
 2.直接原価計算の方法と記帳
 3.固定費調整
 4.直接標準原価計算
 5.価格決定と直接原価計算
 6.直接原価計算とリニアー・プログラミング
 7.事業部の業績測定
第十六 製品の受払い
 1.製品の受入れと記帳
 2.製品の販売と記帳
第十七 営業費計算
 1.営業費の意義
 2.営業費の分類と記帳
 3.営業費の分析
第十八 工場会計の独立
第十九 差額原価収益分析
 1.業務的意思決定の分析
 2.構造的意思決定の分析
第二十 戦略の策定と遂行のための原価計算
 1.ライフサイクル・コスティング
 2.品質原価計算
 3.原価企画・原価維持・原価改善
 4.活動基準原価計算

 

日商簿記1級合格者のメリット【年収アップ、就職転職で圧倒的有利】

日商簿記1級に合格すると一体どのようなメリットがあるのでしょうか。簿記1級はかなりの難関資格ですから、それに見合うメリットがないと頑張れませんよね。しかし、経理や財務関連の仕事を目指していたり、その分野で活躍・年収アップを目指すのでは簿記1級はぜひ取得したい資格です。私が簿記1級を取得して実際に感じているメリットをお話ししたいと思います。  

日商簿記1級は上場企業の就職転職に圧倒的有利【年収アップ】

簿記1級を取得していると上場企業の経理・財務関係の職種への就職転職が圧倒的に有利です。もしあなたが経理未経験でこれから経理系の仕事、それも上場企業などの待遇のいい会社で働こうとするのであればぜひ簿記1級を取得してください。   もし、未経験の人が経理系の職種に応募してきたときに、ただ「経理をやってみたいです」という人と、「経理をやりたいので、簿記1級を取得しました」という人ではどちらを採用するでしょうか。よほど性格や他の点に問題がない限り、簿記1級取得者を採用しますよね。簿記1級取得者は、実務で遭遇するほとんどの取引について、基本的な知識を有しているので、実務経験がなくてもスムーズに実務対応ができるようになります。   すでに経理系の職種についている人でも日商簿記1級を取得することで、更に待遇のいい会社へ転職するチャンスが広がります。経理系の職種は実務経験が非常に重視される職種ですが、実務でどれほどのレベルの仕事をこなしてきたかは転職先企業の面接官にはわかりづらいものです。そんなときに履歴書に日商簿記1級取得と書くことができれば、あらゆる経理の仕事に対応する素地を備えた人材として高い評価を貰うことができるはずです。  

簿記1級の知識は高度過ぎて実務で使わない?【上場企業の経理では普通に使う】

簿記1級の取得にネガティブな意見として、「簿記1級の知識なんてマニアックすぎて使わない」という意見を聞くことがありますが、これは本当でしょうか。経理系の職種で仕事をしようとしているのであればはっきりいって簿記1級の知識は普通に使います。おそらく簿記1級の知識はマニアックすぎると言っている人は、その人自身が簿記1級レベルの力をもっていないので、周りの人が簿記1級レベル以上の仕事や話題をその人に振らないだけだと思います。   簿記1級を学習すると、簿記の学習範囲としては高レベルである連結会計、退職給付会計、減損会計、税効果会計といった分野が出てきます。これらの分野は、受験生の間ではなかなか難しい論点の中に入りますが、上場企業の実務の中ではごくごく一般的にでてくる論点なので、上場企業の経理を目指すのであれば必要不可欠の知識です。(経理の末端で事務作業をしたいだけであれば不要かもしれませんが、経理の主力メンバーとして働きたいなら必須です。)   簿記1級を学習するときの難関の一つは連結会計ですが、そもそも上場企業の決算はそのほとんどが連結決算です。そう考えると連結決算がわからずに上場企業の経理になろうというのは力不足と言ってもいいでしょう。また、税効果会計などは初学者にとって非常にとっつきにくく、簿記1級の合格者でも苦手とする人が多い分野ですが、上場企業は決算発表のために税効果会計を必ず適用します。ですから税効果会計がわからずに上場企業の経理になるのはやはり力不足です。   このように上場企業の経理では簿記1級の範囲は普通に使われる内容です。簿記・会計の学習者の中では高度と言われる内容も、実務の中でみれば必要最低限の知識だったりするものです。とはいえ簿記1級を取得していれば、「この論点は全く分からない。どうしていいか手の打ちようがない。」ということはないので、それだけでも大きなアドバンテージになるでしょう。  

簿記1級合格者は税理士試験の受験資格が得られる

簿記1級を取得するメリットにはさらなる会計系の上位資格である税理士の受験資格が与えられます。税理士試験は、会計科目2科目、税法科目3科目に合格する必要があり、各科目が簿記1級と同等かそれ以上の学習量を必要とする高難度の試験ですが、日商簿記1級に合格するとこの税理士試験への受験資格が与えられます。   日商簿記1級に受かる人はおそらく会計系の分野の適性があると思いますので、税理士試験にチャレンジしても合格できるチャンスはかなりあると思います。実際に日商簿記1級を学習していれば、税理士試験の会計科目2科目の学習範囲はある程度カバーできるため、税理士試験の受験においてスタートダッシュを切ることができます。  

独学と専門学校の比較【メリットデメリット】

簿記1級を受験しようと考えた場合、独学でもできるのか、専門学校に通った方がいいのか悩む方も多いと思います。私も簿記1級の受験に当たっては、学習方法で非常に悩みました。確かに簿記1級は独学で合格することも可能ですが、簿記1級の独学はすべての人におすすめできる学習方法ではありません。独学と専門学校、それぞれにメリットデメリットがありますので、ご自身の性格やセルフコントロール力などを考えて、勉強方法を決めると良いと思います。以下で、独学と専門学校のメリットデメリットや検討すべき事項についてまとめています。  

独学と専門学校のコストの違い

独学と専門学校の講座を受講する場合の最も大きな違いは受験までに掛かるコストではないでしょうか。まずは会計分野のトップランナーである専門学校2校と独学の場合で、簿記1級の学習に係る費用を比較してみましょう。   <大原の受講料>

コース 受講料
教室通学 152,200円
映像 152,200円
Web 112,200円
資料 97,800円

※2020年6月調べ   <TACの受講料>

コース 受講料
教室講座 177,000円
ビデオブース講座 177,000円
DVD通信講座通信講座 218,000円
Web通信講座 165,000円
資料通信講座 121,000円

※2020年6月調べ   <独学の書籍代(例)>

内容 金額
テキスト・問題集(12冊) 24,640円
過去問 2,860円
合計 27,500円

  専門学校の場合には、同じ簿記1級の講座でもいろいろなコースが用意されていますが、受講料は15万円~20万円程度になります。これくらいの金額ですと、なかなかポンっと気軽に払える人は少なく、決死の覚悟で申し込む感じになるのではないでしょうか。簿記1級は難関試験で長期間の学習を必要とするので、「本当に合格できるのかな」「最後まで勉強を続けられるかな」と不安に思う方は多いと思います。私自身も、簿記1級の学習を始めるまでは本当に自分が合格できるだけの力があるのか不安で、この高額な授業料を払うことを決めきれずにいました。専門学校での学習は、効率の面で優れているのは間違いありませんが、高額な受講料のせいで簿記1級にチャレンジする心理的な障壁が高くなってしまっているように思います。   一方、独学の場合はどうかというと、どのテキストを選ぶのかにもよりますが、コストを最小限に抑えれば3万円前後ですべての教材をそろえることができます。また、市販の簿記1級のテキストと問題集は10冊~15冊程度のセットものになっていますが、1冊ずつ買うことができるようになっています。1冊あたりの値段は1500円~3000円程度なので、「簿記1級がどれくらいの難しさ体験してみたい」「簿記1級の内容に興味が持てそうか試してみたい」という方も気軽に挑戦することができるのは独学の大きなメリットです。   実際、私が独学で簿記1級を学習することを選んだのは、専門学校の授業料の高さと、授業料の高さから来る学習のスタートラインに立つハードルの高さでした。資格試験はやっぱり合格してなんぼなので、もし途中で挫折してしまったら、受講料の約20万円はドブに捨てたようなものです。(もちろん、自分の知識やスキルは上がりますが。。)そう考えたときに、独学であれば「自分にも簿記1級の学習ができそうか試しながら、もし続けられそうであればであれば本格的に学習をしていく」という気軽なスタートを切ることができるのがとても良いところだと思います。   もっと言えば、学習方法は独学か専門学校かの2択ではありません。まず独学で学習を始めながら様子を見て専門学校に行きはじめるというやり方や、専門学校に行って1回目の受験をしたものの不合格だったので2回目の受験は独学で挑むというやり方もあると思います。  

学習のベース配分

専門学校の講座を受講する場合は、専門学校が蓄積したノウハウに沿って最適な学習のペース配分で授業を進めていってくれます。自分で学習のスケジューリングがうまくできない方には大きなメリットになるでしょう。一方で、一度遅れてしまうと、その遅れが学習を途中で挫折してしまうきっかけになってしまうこともあります。   一方の独学は自分でスケジュール管理をして学習を進めていく必要がありますが、学習のペースは人それぞれなので、自分に合ったペースで学習を進めることができるのはメリットになります。   <ポイント> ・専門学校は、学習のペース配分をしてくれる ・専門学校は、学習が遅れたときに、遅れを取り戻せず挫折しやすい ・独学は、自分に合ったペースで学習を進められる ・独学は、自分が分からないところは重点的に、わかるところはサッとやるなど強弱をつけて学習できる  

改正が少なく、試験も年2回あるので独学でも十分な過去問対策ができる

簿記1級が独学でも合格するチャンスが大きい理由はここにあります。公認会計士、税理士などの会計分野の難関資格は、試験が年1回しかないので、市販の過去問を買っても十分な量の練習問題が確保できません。過去問は試験対策で最も重視すべき問題集ですが、十分な量の練習問題が確保できないとすると、専門学校の講師が作った模試や対策テストを活用する必要があります。一方で、簿記1級は年に2回試験があるため、十分な量の過去問を市販教材でも入手することができます。   また、公認会計士や税理士などの難関資格に比べて、改正論点が少ないのも特徴です。例えば、最近新しく改正された論点が複数ある場合は、過去問で対策をすることができないので、専門学校の講師などから改正論点などの対策を受けた専門学校の受講生が有利になってしまいます。それに比べて、日商簿記1級の範囲は、それほど頻繁に改正がある分野ではないので、市販のテキストでも十分対応することが可能です。  

まわりに勉強している人がいるかどうか

独学の一番難しい点はセルフコントロール、つまり学習に対するモチベーションの維持だと思います。専門学校の受講生(通学コース)の場合は、まわりに必死に勉強している人がたくさんいるので、その様子をみて「自分も頑張らないと!」とモチベーションを上げることができます。独学で完全に一人でやっていると、こういったモチベーションを上げる機会が少ないのはデメリットではあります。   私は基本的には自宅で一人で勉強することが多かったですが、モチベーション管理も兼ねて定期的に図書館や自習室に行って勉強をするようにしていました。図書館や自習室は、学習している内容こそ違いますが勉強している人の姿をたくさん見ることができます。人はまわりの人に合わせたり、環境に流されてしまう生き物なので、そういったまわりに勉強している人がいる空間で過ごせば、自然と勉強ができるようになっていきます。  

日商簿記1級の独学におすすめテキスト、過去問

実際に簿記1級を学習するときにどんなテキストを選んだ方が良いのか、また私が実際に簿記1級を取得したときに使用していたテキストご紹介したいと思います。まず、独学で簿記1級合格を目指すテキストを選ぶときのポイントは以下の通りです。   <独学のテキスト選びのポイント> ・カラーであったり、図表が多く入っていたりと視覚的に見やすいものを選ぶ ・解説が充実しているものを選ぶ   独学で学習を吸据えるときに最大の問題になるのはやはりモチベーションの維持になります。そこで独学で使用するテキストが白黒の文字ばかりのテキストだと、勉強するのもいやになってしまいますよね。そのためテキストはできるだけカラー刷りのもので、図表が多く入っているものを選ぶと良いと思います。   また、独学では自分でテキストや問題集の答えを読み解いて、理解をしていかなければいけません。そのため、できるだけ解説が充実した教材を選びましょう。資格試験対策に使う問題集を見ているとたまに問題の答えしか載っていない問題集や、答えと一言解説しか書いていない問題集を見かけますが、こういったテキストを選ぶのはやめましょう。独学では基本的に質問できる人はいないので、テキストや問題集を見て、なぜ答えがそうなるのかを理解する必要があります。ですから、問題集の解説が充実しているいうのは必須条件です。   私が実際に簿記1級に合格したときは以下のテキストを使用して合格しましたので、これから勉強を始める方やすでに勉強を始めている方は参考にしてみてください。     <テキスト・問題集> 商業簿記会計学 テキスト(全3冊)

商号簿記・会計学レーニング(全3冊)

工業簿記・原価計算 テキスト(全3冊)

工業簿記・原価計算レーニング(全3冊)

  このシリーズは販売しているネットスクール出版は、会計分野の資格試験対策をやっている会社で簿記1級以外にも税理士試験対策などもやっています。独学用教材や通信講座に特化して対策をしている会社が出版しているので、内容も非常にわかりやすくなっています。また、1冊ずつ購入することができるので、試しに勉強を始めてみてできそうなら学習を続けて合格を目指す、というスタンスの方にもおすすめです。   <過去問>

過去問はあらゆる資格試験を合格する上で最高の教材なので、過去問をやらずに試験対策はあり得ません。過去問はいくつかの出版社から販売されていて内容は同じですが、できるだけ解説が充実したものを選ぶと良いと思います。私はこちらの過去問を使用して試験対策をしていました。  

まとめ:日商簿記1級 独学の難易度、合格率、勉強時間【おすすめテキストは?】

日商簿記1級は数ある資格試験の中でもかなりの難関資格の一つに入ります。しかし、その難しさこそが日商簿記1級の希少価値を高めているとも言えます。これから経理系の職種で専門性を磨いていきたいとお考えの方は、日商簿記1級にぜひチャレンジしてみてください。  

 

 

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